レンジフォワードとリスクリバーサルとは

去る2月18日にターマン・シャンムガラトナム財務相より2011年度(11年4月〜12年3月)シンガポール政府予算案が国会に上程されました。

 

http://app.singaporebudget.gov.sg/budget_2011/default.aspx

 

(上記シンガポール政府予算ウェブサイトを試しに一度御覧下さい。結構よくできたHPでして、Public Comments、FeedBackなどもそれなりに充実しています。又、いろんなJC(Junior Collegeの略で日本の高校に相当します)が参加する予算Debate大会(賞金付き)やBudgetクイズ(財政の考え方についての政府方針が伝わるように設問自体がよく工夫されています。因みに賞品はなんとIpadです。)なんぞは、勿論、政府のプロパガンダではありますが、国民参加の仕組みとしては面白いものかと思います。日本にも、例えば財務省HPにて「キッズコーナー」という"税と財政について楽しく学べるコーナー"http://www.mof.go.jp/kids.htm なるものがあるようですが、比較してみられると違いが分かり面白いかと思います。)

 

シンガポール政府の会計年度は日本と同様で、4月に始まり3月に終わります(注1)ので、大体毎年2月のこの時期(注2)に翌年度予算が発表されまして、この財務相の予算スピーチは8月9日独立記念日の首相演説と並びシンガポール国民の注目をあびます。

 

<注1:因みにASEAN諸国内で4月―3月という会計年度(英国、カナダ、インド、パキスタン等も同です)をとっているのはシンガポールとブルネイのみでして、インドネシア、マレーシア、カンボジアは1月―12月の暦年(ドイツ、フランスや中国、韓国、ロシア、中南米諸国等も同です)。タイ、ベトナム、ラオス、ミャンマーは10月―9月(米国と同)。フイリピンは7月−6月(オーストラリアやノルウェー、スウェーデン、ギリシャ等が同)とバラバラです。>

 

<注2:昨年は2月22日に発表されましたが、一昨年の2009年度予算につきましては、「過去に例の無い世界経済危機」に対応した「過去に例の無い措置を盛り込んだ」緊急経済対策予算であった為、通常時より一ヶ月前倒しの1月22日に発表されました。>

 

さて、シンガポール政府の予算案には、その特徴と政府の意向を簡潔なメッセージとして国民に伝えるキャッチコピー(注3)がつきものになっています。

 

今回の2011年度予算のキャッチコピーは、

 

「GROWING INCOMES, STRENGTHENING OUR SOCIETY 」です。

 

来年度予算の特徴は幾つかあるのですが、2010年度の過去最高14.5%の高経済成長(及び2011年度も引き続き力強い歳入が見込める状況)を受けて、その経済成長の果実を国民皆で分かち合おうという意味合の

 

'Grow & Share' Package(32億Sドル)と称する税還付、低所得者への給付金、高齢低所得者への医療費援助、低所得世帯の子女教育費援助、等々及びGrowth Dividendsと銘打った全シンガポール人への給付金の支給が一つの特徴になっています。特に住居費、食糧費等が上昇している中で、とりわけ低所得層への所得移転に焦点が当てられています。

 

以上に加えFY2012からの個人所得税が最高税率の20%は変えぬ中で、途中の累進税率を中所得層にとって有利に変更する点等も合わせてみると、この予算は来年度実施予定の5年に1度の総選挙を見据えた「選挙対策予算」のように映るかもしれません。

 

確かにその側面は否めないのですが、来年度予算で打ち出された雇用主の被雇用者CPF(シンガポールの社会保障制度で、日本などの社会保険とはコンセプトが異なり"強制個人貯蓄制度"とでも理解してください)に対する会社負担率の引き上げ(16%へ)や、低賃金外国人労働者を雇用する際の Levy引き上げという措置をみますと、実は昨年度打ち立てられましたシンガポール国の向こう10年での達成目標に沿った工程表の一つのようにも思えます。

 

因みに昨年2010年度予算のキャッチコピーは

 

「TOWARDS AN ADVANCED ECONOMY:
          SUPERIOR SKILLS, QUALITY JOBS, HIGHER INCOMES」

 

でした。
過去10年の中で最も字数が多いキャッチコピーだった(笑)という瑣末な事はともかく、前年の2009年度(何がなんでも雇用確保という危機対策が全面に出た予算)とはうって変わって、2020年までの向こう10年間で成し遂げるべき(と政府が思っている)国家目標を明示したものでした。

 

即ち、
「労働者の技能・レベルを上げて、仕事そのものの質を向上させ、より高い収入が得られる先進経済(ADVANCED ECONOMY)を目指す。」というものです。

数値目標として
・向こう10年にわたり年率2〜3%の「生産性」の引き上げを目標とし、(結果として)

・10年後の実質収入を現在より1/3上昇させる。

 

とされました。

 

要は社会全体の質を上げるということなのですが、なかんずく底辺層のボトムアップが如何にして達成可能なのかが鍵になりそうで、今シンガポールは大きな岐路に立っているような気がします。

 

<注3:過去の予算案のキャッチコピーを並べてみますと、

 

2009年度
「Keeping Jobs, Building for the Future」

(危機感が現れていて「いかにも」っていう感じですねえ。)

 

2008年度
「Creating a Top Quality Economy, Building a Resilient Community」

(未だリーマンショックが顕在化する前です)

 

2007年度
「Ready for the Future, Ready for the World」

(まさにイケイケドンドンの年です)

 

2006年度
「Building On Our Strength,Creating Our Best Home」

(前回総選挙の年です)

 

2005年度
「Creating Opportunity, Building Community」

 

2004年度
「Building a Future of Opportunity」

 

2003年度
「Seizing Opportunity in Uncertainty」

 

2002年度
「A Budget For a Different World」

 

2001年度
「Entering The New Millennium : A Place For Everyone」

 

こうやってみてみますと、各年度予算のキャッチコピーがいかに夫々の時代状況を反映したものになっているかが伺えます。>

 

2011年度予算の詳細につきましては又の機会に改めてお伝えする事といたしまして、2010年度シンガポール国のFiscal Updateは以下のとおりでした。外国為替市場にも注目でしょう。詳しいサイトはこちら。

 

・2010年度経済成長率+14.5%
 内、製造セクター+29.7%(特にバイオメディカル)、

サービスセクター+10.5%(金融及び観光)、建設セクター+6.1%。
・労働市場は逼迫感があり2010年度の新規雇用創出は112,500人(2009年は37,600人)、

失業率は2010年末で3.1%(2009年末は3.3%)。
・消費者物価指数は2010年年間で2009年年間比+2.8%(COE=自動車購入権価格高騰に

よるTransportセクターと住居、食料の上昇)。
尚、2010年12月の対前年同月比(YOY)では+4.6%。

・又、予算規模460億シンガポールドル(約3兆円)の2010年度予算の財政尻はシンガポール政府定義上の基礎収支で25億シンガポールドル(約2千億円弱でGDPの0.8%)の赤字で、投資リターン繰入後の総合尻では僅かに3億シンガポールドル(約200億円弱でGDPの0.1%)の赤字とほぼ均衡財政になっています。

 

本日の新興市場は、中東情勢への警戒感が燻るなか神経質な展開となり そうだ。ただし、主力のネット関連株に対する関心は高く、利益確定売り に押される局面では、引き続き、押し目買いの動きが期待されよう。また、 本日はマザーズ市場へ駅探<3646>が新規上場となる。人気の根強いマザーズ 上場のモバイルコンテンツ案件、アプリ関連としての位置付け、公開規模の 小ささなどを考慮すると初値は人気化することが予想され、関心が一段と 新興市場へと向かう可能性もありそうだ。為替相場でドル高円安になると株式市場の出来高も伸びそうだが、FXの売買代金のほうが増加するであろう